TODリメイク記念
〜陰の功労者? 過去と未来を繋ぐこと〜











 セインガルド王の勅命により、神の眼の行方を追うスタン一行は何故か。

 森の中を彷徨っていた。

「ちょっと、あたし達なんで森の中を彷徨ってるのよ!?」
 ヒステリックに叫ぶ黒髪で肌の露出の多い少女、ルーティ。ソーディアン・アトワイトのマスターであり、レンズハンターでもある。
「ふん、どこぞの誰かが道を間違えたんだろう」
 皮肉を含めて言い放った黒髪の少年、リオン。ソーディアン・シャルティエのマスターにして天才少年剣士と名高い。
「わ、悪かったってばっ」
 しゅんとしながらルーティとリオンに謝っている金髪の青年、スタン。ソーディアン・ディムロスのマスターにして田舎者である。
 その様子をあわあわと慌てながら見つめる緑の髪に眼鏡を掛けた少女、フィリア。ソーディアン・クレメンテのマスターにしてストレイライズ神殿の神官である。
「……長閑だねぇ」
「ああ、いつも通りだな」
 列の最後尾で四人の様子を眺めている赤い長髪の女性と蒼い髪の少女とも少年ともつかない見た目の人間。
 赤髪の名は、マリー。蒼髪の名は。二人ともスタン一行の中でマイペースな方である。
 ちなみにはあるはずのない七本目のソーディアンを持っていたりする。
「しかし、何処まで続くかね、この森」
「さあな。だが油断はするな」
「解ってるわよ」
 飽き飽きしたといった調子で呟く。それに答えたリオンの言葉にルーティが噛みつく。
 その時。

 がさり。

 不吉な音が茂みの奥から聞こえた。
 がさがさという音は段々と近づいてきているようで、それぞれ剣を抜きはなってモンスターの襲来に備える。
『来るぞ!』
 ソーディアン・ディムロスが叫んだ瞬間、茂みからモンスターが数匹飛び出してくる。
 モンスターが飛び出したあとも、茂みは揺れ、音を立てている。だが風はそこまで強くない。
「まだ隠れているようだな」
 向かってくるモンスターを薙ぎ倒しながらマリーは茂みの方へちらり、と視線をやる。
「任せろ! 蒼破刃!」
 くるり、と身体を茂みの方へ反転させ、が剣を振るった。
 空を駆ける衝撃波が茂みを突き抜けモンスターを屠る。
「どうだ!」
「力任せだな」
「五月蠅いなぁ」
 ガッツポーズをして勝利をアピールするに肩を竦めてみせるリオン。
 勝利の余韻に浸らせてくれと抗議するが、聞き入れられず。
 結局森も抜けられずにその日はその場で野宿となった。
















 焚き火の炎を前にして、は一人物思いに耽っていた。
 そんな背に、

 スタンの声が掛かった。
「どうかした? スタン」
「昼間の技さ、どうやったのか教えてくれないか? やってみたいんだ」
 目を輝かせながら言うスタンに口端を少し吊り上げてが笑う。
「いいよ。……あれはね、魔神剣の応用だよ。魔神剣が地面を這う衝撃波なら、蒼破刃は空を駆ける衝撃波。スタンやリオンなら使えるかもね。あとマリーとか」
 言ってやれば、スタンの目の輝きは更に強くなった。
「よーし、明日から特訓だ!」
「頑張れ! 応援するよ!」
「貴様等いい加減静かにしろ!」
 ヒートアップしていくとスタンの声に、とうとうリオンがキレた。
 起きあがるとスタンを睨みつける。
《…………ヤキモチ?》
 そんなリオンを冷やかすかのような声がの持っているソーディアンからした。
『さあ……。でも坊ちゃんのことだからきっと、』
「シャル。捨てていくぞ?
『ご、ごめんなさい、坊ちゃん』
 ソーディアン・シャルティエが答えようと発した声を遮る形でリオンが口を開き、その発言内容にシャルティエは口を噤む。
『スタン。どちらにしろ、今眠らなければ特訓も何もないぞ』
「そっか。じゃあお休み、、リオン」
 ディムロスの参入でその場はすぐさまお開きとなる。
 そうして夜は更けていく…………。
















「蒼破刃! まだだ! 牙連蒼破刃!」
「やったわ、カイル!」
「見てた? リアラ」
「ええ!」
「…………バカップルどもめ」
 今の目の前には、かつての仲間の息子がいる。
 蒼破刃をマスターしたスタンは、そのままが教えた他の技も吸収していった。
 そして今、その技をスタンの息子であるカイルが使っている。
「そう思うと感慨深いねぇ」
「何がだ?」
「いんや、独り言」
 肩を竦め、黒尽くめの少年、ジューダスに答えると、はカイル達の方へ歩いていく。


「…………心の奥で、永遠とわに輝け」


 呟き、笑う。
 心の奥なんて所じゃない。今も昔も、目の前で輝いている。仲間という光として。
 そう思うと、過去も未来も、現在も、繋がっているのだと思える。
《でもスタンに蒼破刃を憶えさせる、だなんて。…………もしかしなくても、狙った? 
 自身の持つソーディアンに確認の如く問い掛けられ、笑う。
「あったり前じゃん」
 そして今度は走り出した。
 前にいた体格のいい兄貴分であるロニに向かって。
 その背がすぐ目の前に来た瞬間、勢いを殺さずそのまま跳び蹴りを喰らわせる。
「何すんだよ、!」
「はっはっは、修行が足りん!」
 笑いながら、は眼を細めた。












過去きのう現在きょうに、現在きょう未来あしたに、ずっと繋がっていくのだと感じて。