サモンナイト4発売記念
〜騎士の家〜











 庭で木剣を振る一人の少年。将来騎士になるのが夢だというフラットの子供達が一人、アルバである。

「アルバーっ。相手してあげようか?」
「あ、姉ちゃん」

 庭に一人の黒髪の少女が現れる。
 と呼ばれた少女は木で出来た短剣を片手に握っている。

「人間経験が大事だからね」
「姉ちゃん相手してくれるの?」
「もちろん! 将来有望なアルバ君のためさ」

 フフフ、と笑いながらアルバの側へ行くと、構えをとる。

「行くよ、姉ちゃん」
「来いッ」

 木と木がぶつかる音が暫く続いた。
 はアルバの攻撃を受け流すだけで、積極的に攻撃はしてこない。
 暫く続いていた音がどちらからともなく途切れる。

「…………うーん、凄いね、アルバ。腕が確実に上がってるよ」
「あ、ありがと、姉ちゃん」

 息を整えるアルバの正面で首を鳴らし、は前回の手合わせを思い出しているようだ。
 そんなに声を掛ける者がいた。

、私とも手合わせをしてくれないか?」
「レイド」

 レイドと呼ばれた騎士風の男はアルバを下がらせ、木剣を握る。
 苦笑しながら構えると、攻防戦が始まった。
 一緒に戦っていた仲間同士だけあって、お互いの癖をよく知っている。手合わせはアルバの時よりも長く続いた。

「レイドも姉ちゃんも凄いや」

 おいらも頑張らないと。
 そう呟いたアルバは見るのも勉強、と二人の様子を見守っていた。
















 三十分ほど手合わせを続けていたが、やはりどちらからともなく手を止める。

「アルバ、参考になったか?」
「うん」

 レイドの言葉に答えると、先に戻ってるね、と元孤児院であるフラットのアジトの中に入っていった。

「…………レイド」
「ん? なんだい?」

 じっとレイドを見上げてが口を開いた。

「騎士に戻るんでしょ?」
「…………」
「この前と一緒に、ていうかが連れてきたシャムロックっていう白騎士。自由騎士団を作るって言ってたよね。レイド、入りたそうにしてたから」

 真っ直ぐに見つめるに苦笑すると、レイドは頷く。

「ああ。入れてくれるかは解らないがね」
「大丈夫だよ。シャムロックも入って欲しそうだったし」

 でも寂しくなるなぁ。
 そう呟いたにレイドが口を開こうとしたとき、

「おーい、ーっ。盗賊退治に行くぞーっ」
「今行くよ、ガゼル!」
「早くねーっ!」
「おーう!」

 少年達の声が飛んできた。

「ゴメンね、レイド。またあとで」
「ああ、行ってきなさい」
「はーい、行ってきまーす」

 そう言って走り去っていくの背を見送りながら、レイドは柔らかく微笑み、一人呟いた。












「それでも、私の戻ってくるべきばしょはここだよ」